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  • 2007.07.28 Saturday
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業界こぼれ話 「キャベツおかわり自由」の意味は?


どこのレストランでも「おかわり自由」は当たり前?

制作・演出 松本こうどう

とんかつ屋の店内に良く「キャベツおかわり自由」と張り紙がしてある。

最近では「ごはん・味噌汁おかわり自由」というのもあるが、「キャベツおかわり自由」が元祖であったと思う。だが、この「おかわり自由」は何かヘンな表現である。

キャベツやごはん、味噌汁が「おかわり自由」と書いてある店では当然のことながら、「おかわり」を店の人に頼むと持ってきてくれる。例えば、とんかつ屋で「キャベツのおかわりとごはんをもう一膳」と注文するとちゃんと出してくれる。

これは別に「おかわり自由」と書いていない店でも同じである。例えば、ファミレスで「野菜サラダのおかわりとライスをもう一個」と注文するとちゃんと出してくれる。

では、「おかわり自由」と書いてある店と書いていない店とでは何が違うのか。答えは「おかわり自由」と書いてある店では、その品は食べ放題であり、追加料金はいらないということになっているようだ。「そんなこと言われんでもわかっとるわい」と言わないでほしい。

もう一度、店の張り紙を見てみる。「キャベツおかわり自由」と書いてある。良く考えて欲しい。「おかわり自由」には「食べ放題」とか「同じものを重ねて注文しても無料」とかいう意味はない。「おかわり自由」は「おかわり(をするの)は自由です」という意味しかない。

基本的にどこのレストランでも「おかわり自由」である。「おかわり」を禁止していない。勘定さえ払うのであればいくら「おかわり」しても良い。だからワザワザ「おかわり自由」と書く必要がない。

だが、例えば「当店では食べ過ぎなどでお客様が健康を損ねることがないように、おかわりは制限させて頂きます」という店があれば「おかわり自由」ではない。そうでない限り、どの店も普通に「おかわり自由」である。だからワザワザ「おかわり自由」と書くと誤解を招く。

「キャベツ、ごはん、味噌汁おかわり自由」などと書いてあると、「そうか、とんかつとか他のメニューはおかわり注文出来ないんだ」と思う人が出てくる。「キャベツ、ごはん、味噌汁はおかわりしても良いが、他の品は最初に注文したあとにもっと食べたくなっても、この店ではおかわりは自由でないんだ」と思う人がいても不思議ではない。店の真意が客に伝わらない。

あるいはこういう事も考えられる。例えばあなたがとんかつ屋に入る。店内には「キャベツおかわり自由」と書いてある。あなたはとんかつ定食を食べて、キャベツのおかわりを頼む。店のオヤジは気持ちよくキャベツのおかわりを出してくる。あなたはそのおかわりも食べた。さて勘定の時に、伝票にはキャベツのおかわり分の料金もちゃんとついていた。

驚いたあなたは店のオヤジに文句を言う。「キャベツおかわり自由」と書いてあるではないかと。店のオヤジは平然と、ウチは「キャベツおかわり自由」と言っているが、「おかわりは無料」とは一言も言っていないと反論してくる。食いたいヤツは食いたいだけ自由に食っても良い。だけどカネは貰うよと。これは店のオヤジが正しい。

「キャベツおかわり自由」と書いてある店には、こういうのがあるかも知れないから気をつけたい。(普通はそんな店はない)

では、客がこの様な誤解をしないように「おかわりしたい意思があれば、おかわりするのは自由で、さらにおかわり分は追加料金はなしです」という意味を、張り紙に短く表現する場合は何と書けば良いのであろうか。

「キャベツ食べ放題」と書いた場合。これだと「バイキング2時間食べ放題」を連想させる。だから時間制限なしで「キャベツ食べ放題」のようでヘンである。食べ放題は困るが「おかわりしても良いですよ、その分はサービスですよ」という店側の微妙なニュアンスが出ていない。

「キャベツ追加無料」と書いた場合。これだと、例えば最初の注文の時にキャベツ付きのメニューを注文していないヤツが「キャベツは、最初の注文時に頼むと有料だが、追加で注文した場合には無料になる」と思ってしまうからマズい。おかわりの分だけが無料という意味が明確ではない。

「キャベツおかわり無料」と書いた場合。これだと「キャベツおかわり自由」の「自由」を「無料」に変えて、一見明確にしたように思えるが問題がある。先の「おかわり自由」の「おかわり」は明らかに動詞である。すなわち、「おかわりをする」という動作を表したものであり、決して「おかわり」する「品そのもの」を表す名詞では使ってはいない。

従って、「キャベツおかわり無料」は「おかわり」する動作そのものは無料であるという意味だけを表していると誤解されかねない。どういう事かと言うと、客が「おかわり」をするとその分余計に店員が働かなくてはならないので、そのサービスの人件費分は有料である店があるかも知れないが、当店では「おかわり」というお客様の要望に応える店員の動作は無料です。しかし、「おかわり」する「品そのもの」が無料とは言っていないと取るヤツがいる可能性がある。(普通はそんなヤツはいない)

それでは、「キャベツおかわり品無料」なら良いか。「おかわり」ではなく「おかわり品」とする事で、「おかわり」する「品そのもの」を表す名詞である事を明確にしている。しかし、客によって求める「おかわり」の分量にバラツキがあり、量として「一品」となる基準がないから、「おかわり品」ではなく「おかわり分」とした方が良い。

従って「キャベツおかわり分無料」が良い。「何だそんな事か」と思わないで欲しい。これで店の真意が客に伝わるということになる。それにしても店は何故「キャベツおかわり自由」と書くのであろうか。

昔は皆貧しかった。家では安いキャベツばかり食べていた。だが、いくら安いキャベツでも当時家族の多かった日本の家では勝手に「おかわり」は出来ない。いちいち母親に伺いを立てなくてはならない。自由に「おかわり」は出来なかった。

そんな時代を生きた世代のオヤジが開店したとんかつ屋では、お客様さんにはキャベツを自由に「おかわり」して腹いっぱい食べて欲しいと思った。その願いが「キャベツおかわり自由」という表現になったのではないだろうか。

だから「おかわり」と言えば、「無料」ではなく「自由」という言葉が続くのである。キャベツが自由におかわり出来るほどの幸せはなかった。

「キャベツおかわり自由」は日本の文化である。

コピーライト2006 松本こうどう

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