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  • 2007.07.28 Saturday
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演出ノート モデルの女の子が行方不明!


あれっ、集合場所に誰も来ない・・・

制作・演出 松本こうどう

出演者が収録時間になっても撮影現場に現れない。

主役級は全員揃っているのに、仕込みの脇役が来ないために番組収録が出来ない。現場ではこれはホントに困る出来事である。

一般論で言えば、理由のいかんを問わず、時間通りに現場に来ないヤツが悪い。言い訳は通用しない。だが、遅れた理由を調べて見ると制作側のスタッフ関係者にもっと配慮があったらふせげていた遅刻だったかもと思う場合が結構ある。

誰が悪いではなく、現場に来ない人間がいると結局はその場の全員に迷惑がかかる。いくら遅れた人間の自己管理や自己責任を問うても、結局は損をして大変な目にあうのは制作側である。従って、制作側スタッフにも自覚と責任感が必要である。

かなり以前の事であるが、ロケ先でモデルが二人ほど行方不明になったことがあった。もちろん、モデルの彼女たちにも多大な落ち度があるのだが、制作側スタッフにも配慮が足りなかった場合に起きたアクシデントの好例なので話してみたい。

京都での撮影の時であった。前日まで他の地方での撮影があった制作スタッフ陣は、その日の朝早くに京都入りして、京都駅周辺で出演者および他の関係者と待ち合わせる事になっていた。待ち合わせ場所は前日の夜遅くに決まった。従って、事前にファックスで関係者に配られた撮影スケジュール表には、「当日の集合場所は京都駅周辺、詳細は前日に決定して連絡」と記されていた。

前日にレポーター役の子が宿泊した「京都新・都ホテル」の前での集合と決まった。京都駅前のホテルである。当日は集合時間までに、レポーター役の子も含めて関係者が続々と集まって来た。

モデル役の子たちを3人お願いしており、その子たちはそれぞれ別々の場所から集合場所に自分たちで来ることになっていた。時間までにモデルの一人はやって来たのだが、他の二人は中々来ない。スタッフの担当者に言わせるとこの二人を含めたモデル全員に前日に宿泊していたホテルに電話をかけて集合場所と時間をきちんと伝えてあるとのことであった。確かにそのうちの一人はきちんと集合場所に来ている。

モデルと言ってもマネージャーが一緒に来るクラスの子たちではない。本人たちが責任を持って現場まで来なくてはならない。スタッフの担当者もちゃんと伝えてあるのにと首をかしげる。当時はまだ携帯電話を所持していない人も多かった。十九か二十歳くらいのこのモデルたちもやはり携帯電話なんか持っていなかった。

彼女らがそれぞれ前泊したホテルにも問い合わせてみたが、彼女らはちゃんと今朝それぞれチェックアウトしている。簡単に言えば、二人のモデルが行方不明になっているのである。「行方不明」とは大げさにと思われるかも知れないが、こういう時の当事者の気持ちにはこの表現がピタッリと合う。

30分を過ぎたあたりから、こちらも焦ってきた。他の関係者のイライラも募ってくる。本当はこのモデルたち抜きで撮影を見切り発車したいが、撮影の構成上そうも行かない。さらに15分が経過する。もう限度と感じた私はスタッフの担当者に、彼女ら二人に電話で何と伝えたのか、正確に教えろと迫った。

彼は「集合場所は京都駅の京都新・都ホテルで時間は○○です」とちゃんと伝えたと繰り返す。ホテルの住所も電話番号も伝えてあると言う。だが、ホテルには何の連絡もないし、彼女たちは現れない。

その時に私はハッと思った。彼女たちはもしかすると「京都新・都ホテル」ではなくて、間違えて「京都 都ホテル」に行っているのかも知れないと。「ウエスティン都ホテル京都」の名称がまだ「京都 都ホテル」の頃である。電話で「場所はキョウトシンミヤコホテル」と言われた場合に、京都に不慣れな人には有名な「キョウトミヤコホテル」に聞こえるかも知れない。ましてや「京都新・都ホテル」の存在を知らなかったら、なおさらの事である。

早速、「京都 都ホテル」に電話をかけてそれらしき人物を探してもらう。だが、該当者が見つからない。もうダメかと思ったときに、モデルの彼女ら二人がノコノコとやって来た。聞けば、あまりにも皆が来ないので不安になってホテルのフロントに住所を確認してみて間違いに気がついたとの事であった。案の定、モデル3人のうちの2人がホテル名を勘違いしていた。

件のスタッフ担当者は、彼女らに「何故先にホテルの住所を確認しなかったのか」と怒っていたがこれは違う。確かに間違えた彼女たちの落ち度は大きい。また、間違いに気がついた後には「京都 都ホテル」から「京都新・都ホテル」に今から向かう旨を電話連絡するくらいの配慮も必要であった。だが、このスタッフ担当者から彼女たちへの事前の電話連絡の内容にも配慮が足りなかったのは事実である。

彼は電話口で「京都新・都ホテルと京都 都ホテルの二つがあるが、そのうちの京都新・都ホテルの方であるから間違えないように」と付け加えるべきであった。これで相手には類似した二つのホテルがあることが伝わり、ホテル名を間違えることもなくなる。

仮に相手に名称の似たホテルが二つある事を伝えなくても、相手にホテル名を復唱させるなどして確認しておけば、こんなミスは起らない。要は確認作業を怠ったために起きたアクシデントである。確認をしなかったヤツも悪い。

確認作業というのは相手がこちらに対して必ず行なうとは限らない。だから先手を打ってこちらから相手に対して確認を行なうのが確認作業である。だから、確認作業においては、「相手に伝わっていると思った」とか「わかっているものと思っていた」とか「こちらの言葉が足りなかった」などという言い訳は一切通用しない。確認をしないでおいて、いざトラブルが起きると「(予期せぬ誤解があり)相手も自分もお互いに被害者であった」などという子どもじみた意識を持って責任逃れをするのはご法度である。

おわかりのように、この「確認」ひとつ省いただけでとんでもない事体になる。悪いのは相手であっても自分たちの「配慮」が足りないと結局は自分たちの損になる。相手のせいにしても始まらない。制作の時だけではなく、日常の生活においてもこの事は絶対に忘れてはならない。こういう事がきちんと出来ない様では気が利く人間とは言えない。

結局撮影は1時間遅れでスタートしたが、今度は待たされていたレポーター役の子の機嫌が悪くなった。「確認」をひとつ怠るだけで、災難は永遠に続く。肝に銘じたい。

コピーライト2006 松本こうどう

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  • 2007.07.28 Saturday
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