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  • 2007.07.28 Saturday
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業界こぼれ話 コレって「ヤラせ」?


企画を考えるのは難しい・・・

制作・演出 松本こうどう

昼休みの楽しみ方を人に見せるのは難しい。企業紹介の映像を制作したときのことであった。

高校卒業で就職する若者向けに、ある大企業の工場を紹介するビデオ制作の仕事があり、その会社の総務の人と一緒に撮影を行なった。就職先を探す若者に工場の紹介とは言っても仕事内容よりも工場勤務の楽しさをアピールするビデオである。社内の楽しさを強調するビデオである。

総務の人がいろいろと考えていた。そのひとつが、昼休みのバレーボールであった。工場敷地内に芝生があり、社員の憩いの場となっているエリアがあったが、いつ見ても誰もいない。もちろんバレーボールなどをやっている社員などひとりもいない。だが、総務の人はここで社員のみんなが、お昼にお弁当を食べ、輪になってバレーボールを楽しむ和やかな雰囲気のシーンを撮りたいとおっしゃる。その発想は古いし、ちょっと違うんじゃないかなと思ったが、ここは総務の人の言うとおりにやらねばならない。

撮影当日のお昼休みの時間。件の芝生のエリアには、やはり誰もいない。すると総務の若い社員がオフィス棟に走って行き、制服姿の事務職の女子社員たちを集めて来た。みんなで芝生のあちこちに座り、お弁当をひろげた。どこからかバレーボールが運ばれて来て、作業着姿の男子社員たちと女子社員たちが輪になってバレーボールを始めた。あっと言う間に「空き地」だった芝生のエリアが楽しそうなピクニックエリアになった。

やはりバレーボールをやった事がないのか、みんなヘタであったが何とか撮影を終えた。出来上がったVTRを見てみると、みんな笑顔でお弁当を食べ、楽しそうにバレーボールをやっている。和やかである。とても即行で作った憩いの場には見えない。完璧な仕上がりで総務の人たちも嬉しそうである。

だが、話はこれで終わらなかった。後日に総務の人から電話があり、あのバレーボールのシーンはカットしてくれと言ってきた。あんなに喜んでいたシーンである。映像の映りも良かった。だが、問題は別にあった。

ワケを聞くと、会社説明会が行なわれ高校生たちにこのビデオを観てもらったところ、高校生たちから口々に「昼休みにバレーボールはやらなきゃいけないんですか?」と質問されて困ったそうである。やはり「昼休みにバレーボール」は、今の若者にウケないようである。若者たちは昼休みにはもっとほかにやりたい事があるそうだ。だが、今さら「実はあのシーンは・・・」とは言えない。思わず笑いたくなるような展開であった。

ビデオでバレーボールに興じる社員たちの姿を見て「昼休みにバレーボール」は義務と思う若者たちにも笑ってしまうが、総務の人が言った次のひと言も思わず笑ってしまった。

「やっぱり、サッカーにしときゃ良かったかな」 この総務の人はやっぱりわかっていないようである。

コピーライト2006 松本こうどう

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